「ターミー様!」 
                   
                  「トン、何ですかな?」 
 
                  「ターミー様、かおり様が元気がなく部屋から出てこられないのです。 
                  朝食にも手を付けられないままで困っています。」 
 
                  「やはり国王夫妻がタタミ王国を出られてから寂しい思いをされているに違いないと思うのですが。ちゃんとお話になった方がよいかと…」 
 
                  「そうじゃな〜もうゃんと話す時が来たのか…。」 
 
                  「そうですとも!もうお分かりになるお年ですよ。」 
 
                  「ふぅ〜」 
 
 
 
                  「姫!」 
                   
                  「姫!」 
                   
                   
                  「かおり、ターミーじゃちょっと入りますぞ。」 
 
                  「お昼は食べたのかね?朝食も食べてないと聞いたが…」 
                   
                  かおりは窓際に座って、外をながめている。 
                   
                   
                   
                  ターミーは口を開いた。 
                   
                  「今まで言わなかったが… 
                  王国の王であるラッシュは、この王国ために頑張っておる。その王を支えるために王妃のフレグランスも一緒に行かねばならなかったんじゃ。」 
 
                  「そんなのわからない!何処にいるの?」 
                   
                  かおりは涙をためて言った。 
                   
                  いったい何処まで話せばよいのか、そしてターミーにもいつ帰って来るのかはわからないのだ。 
 
                  「ビーンズ王国じゃ。」 
 
                  「ビーンズ王国?」 
 
                  「そう!その国にいぐさの事を伝えるラッシュにしかできない仕事に行っているんだよ。」 
 
                  「その国は何処にあるの?」 
 
                  「とても、とても遠いところにある。だから簡単に会いに行く事ができないのだよ。」 
 
                  かおりの目の涙がポロポロとこぼれ落ちた。 
 
                  「決してかおりが嫌いになったから連絡がこないわけではないんだよ。」 
 
                  ターミーのがやさしくあたまを撫でた。 
 
                  「大丈夫、パパもママも必ず帰って来るから。」 
                   
 
                  「なーに寂しがる事もない。かおりにはこのターミーおじさん、ゴーザ隊、モーリー、そして大好きな友達がいるではないか。 
                   かおりはこの王国の姫、この王国を引っ張って行かなくてはならない。いつまでも泣いてはいられない。いろんなことを学び経験し、そしてやさしく大きな心をもつフレグランスの様な女性になるのじゃ。」 
                   
                  かおりは顔を上げターミーの方を見た 
                   
                  「ママのように…」 
 
                  「そうじゃ、フレグランスはいつ、いかなる時も明るくやさしく、笑顔を忘れない。笑顔のパワーはすごいぞ!皆がしあわせになる。いつまでも笑いの絶えない王国にするのがターミーの願いじゃ。国王ラッシュの願いでもあるんじゃよ。」 
                   
                   
                   
                   
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